「標準時間」=「ノルマ」でない
時間で焦らせない
単体工程の時間はトラブル時間を含まずに決めるとの話をしました。では、必死で頑張ってなんとかできる時間を入れるのでしょうか?それは否です。そんな時間で決めてしまうと、手抜きをする人が現れたり、まじめな人だと焦って不具合をおこす原因になったりもします。時間はあくまでも毎日終業時間までやり仕事を遂げることのできる、効率的な速度で作業をすることが出来る時間で設定しなければなりません。もちろん、トラブルが起こると焦って工程を取り戻そうと通常以上の速度で作業をされるかたもいますが、焦らないように十分に理解を得る必要があります。最悪の場合、重大災害をまねく怖れさえもあります。
「標準時間」の定義
では、どのような時間で単体工程の時間を決めればよいでしょうか?それは、JISでは次のとおりに定義されています。
「その仕事に適性をもち,習熟した作業者が,所定の作業条件のもとで,必要な余裕をもち,正常な作業ペースによって仕事を遂行するために必要とされる時間。」
なお注意すべき点は、必要な余裕とは疲れなどへの余裕であって、トラブルや手順間違いに対する余裕ではないことです。トラブルや手順間違いが発生した作業は、もはや標準とは言えないからです。わかりやすく言い換えるなら、「習熟した作業者が落ち着いた正常のペースでノーミスで仕事をやりとげるのに必要とされる時間」といったところかと思います。
「標準時間」は「ものさし」
標準時間が上記のように定義される理由、それは標準時間は「ノルマ」ではなく、「ものさし」として働くものだからです。「ものさし」が頻繁に変わっては使い物になりませんよね。標準時間は日程計画やコスト計算などにつかいますので、ものさしとしての役割が大きく求められているのです。量産系メーカーで厳密な管理をしている会社では、ひとつひとつの動作単位ごとに標準時間をきめたりするそうです。非量産系では、そこまではなかなかできませんが、「ものさし」の役割を忘れて設定してしてしまうと、標準時間が使い物にならなくなってしまいます。
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