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標準作業に製造に対する知識と想いを込める

2019年6月1日

経営工学の中核をなしているインダストリアルエンジニアリング(略してIE)は 工場の生産管理に役立つ学問でミッドベールスチール社の職場の組長だったフレデリック・テイラーが 「私たちのやり方」を、職場での話し合いと科学的分析で作ったのがルーツと言われています。 その後テーラーは1911年に科学的管理法という形で纏められました。 学問というと、現場からちょっと離れた現実との乖離があるイメージがありますが、 IEは逆に現場から生まれた少し泥臭いところがある学問と言えます。

その後「私たちのやり方」だった標準作業は、ベルトコンベアの後ろに一列に並んだ 作業者が、決められた時間での生産を強いられるライン生産へと発展します。 当時、ライン生産が人間に機械の一部のような忍耐性を求めているとして 社会的に大きな批判浴びています。 しかし、一方フォード社がベルトコンベアによるライン生産を実現したことで、 世界の多くの一般の人が自動車を買うことができ、世界が広がったのも事実です。 それが、第三次産業革命となり、多くの工業製品を大量生産することで世界は豊かになりました。 ですから社会はライン生産をやめる選択ではなく、ライン生産の問題点を 改善していく選択を選んだわけです。

その後100年が経過し、近年「スマート工場」が世間を騒がしています。 各工場や職場・職場の機械が電子的に結び付いて工程や品質、進行状況など様々な情報のやり取りを行い生産を効率的におこなうものですが、 その中核となるのは、各職場の「標準作業」かと考えます。標準作業がない職場では、周りと効率的につながることが困難です。 「標準作業」を社会の大きな歯車に人間がなるための手段と感じるか、 それとも社会と手を取りあうために職場が示した「私たちのやり方」だと感じるか、 その違いが大きく、職場・会社、さらには社会そのものの発展に繋がると考えます。  職場が「私たちのやり方」として標準作業を改善し続ける工場が、高付加価値なモノづくりを実現できます。

テーラーとその職場が感じたであろう「私たちのやり方」をつくる喜び、この原点に立ち戻ることこそ 22世紀の製造業に生きる私たちに重要かと思います。