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ストップウォッチ法で標準作業を強化

2019年7月19日

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標準作業を決める上では、事前に計画して実際に作りながら記録するとの話をこれまでしてきました。バッチリ標準作業書を作れた方もいれば、残念ながらもう一歩の方もいると思います。そこで、ストップウォッチ法という作業者以外が直接作業内容と時間を測定し分析する手法を紹介します。

対象を決めよう

ストップウォッチ法(連続観測法)は、作業者以外が連続して現場に張り付いて観察するので時間(コスト)が非常にかかります。量産工場ならまだしも、漠然と全工程で行うことは困難ですので、「標準作業が定まらず混乱している工程」や「繰り返し作業が多く、少しの効率化が大きなコストダウンにつながる」など、対象工程を絞る必要があります。

個人を観る

ストップウォッチ法もでも個人を見るのが基本になります。標準を決めるのが目的なので、習熟した手本となる人を決めましょう。そして、その人に趣旨を事前に説明して協力を呼びかけましょう。また、見られているとどうしても、焦って早く動いてしまい普段のペースでできないことがあります。そうならないようにリラックスした雰囲気をつくることも重要です。

記載時間単位を決める

記載する時間単位は、標準作業の枠組みをしっかり決めるのが目的でしたら、「単位作業」とよばれる分単位がよいでしょう。「吊り具を準備する」とか「部品Aを取付する」などです。(作業の繰り返し性が非常に高い場合は、「ハンマーでたたく」などの秒単位の要素作業に設定することもあります。)また、どのような工具類をつかったかや作業の留意点などを追記して、それを見れば誰でも作業ができるようにしていきます。

観察スタート

そして、紙と時計(ストップウォッチ)を準備して観察スタートです。分単位での計測の場合は、ストップウォッチよりも時計の方が、間違ってボタンを押すことも少ないのでお勧めします。できれば横で一緒にビデオカメラを回すこともお勧めします。ビデオカメラは撮影範囲が限られ死角が発生しやすいなど欠点がありますが、見逃した工程を後から見ることができる利点は大きいです。そして観察がはじまったら作業の邪魔にならないところでしっかりと観察しましょう。夢中になりすぎて安全面が疎かにならないように注意してください。

これはストップウォッチ法によって作業者工程分析をおこなう記録シートの例です。作業の内容を価値を生み出す「加工」と、少しでも減らしたい「段取」「検査」「運搬」「停滞」に分類して記載しています。( 各分類毎の改善についてはリンク先を参照願います。)

https://tu-ju.com/2019/05/06/post-137/ 改善をすすめる順序(運搬からなくす)

https://tu-ju.com/2019/05/07/post-143/ 検査と加工改善

https://tu-ju.com/2019/05/31/post-360/ 段取り改善

観察終了後

観察終了後は、それを標準作業と標準時間にまとめる作業となります。熟練の作業者を観察した場合でも、ムダ作業や改善を要する手順もあったと思います。そのあたりを熟練の作業者も含めた関係者で協議して、改善後の手順と時間を標準と定めます。ここで標準時間についてトップレベルの方を観察した場合、早すぎると感じるかもしれません。しかし、手抜きをしたり移動中に走ったなどないかぎりはそのまま採用してください。多くの場合熟練者の作業時間が早いのは手際よくベストの手順を着実にこなしていくからです。この時間を基準にすることで、未熟練者がベストの手順を理解できたか否かの目安になります。なお、一般に時間分析ではレイティングを行う方法がありますが、ややこしくなってきますので職場中心の改善で使うことは共通理解の妨げになるのであまりお勧めしません。 (標準時間の定義はリンク先を参照ください。)

https://tu-ju.com/2019/05/10/post-158/  標準時間

ストップウォッチ法を使った標準作業作成は以上です。なおこの方法は技術職の新入社員が工程を理解し、職場との交流を深めるよい機会にすることにもなります。

https://tu-ju.com/2019/06/29/post-522/ 参考 ワークサンプリング法