ジャストインタイムの前に平準化!
1980年代ジャストインタイム生産方式が世界を席巻し、日米貿易摩擦も引き起こしたのは40代以上の方はご存じかと思います。20代前後の方も、聞いたことがある人も多いでしょう。でも、ジャストインタイム生産方式に、どのようなイメージを持たれていますか? 「発注元がすぐに持って来いといったら、徹夜してでも対応させられる」などと、下請会社をいじめる方式との認識のみを持たれているかたが、残念ながら世間には多いようです。
ジャストインタイム生産方式の定義は
「平準化計画を実施した上で、必要なものを必要なときに必要な量だけ生産する方式」
です。この定義に「平準化計画」の言葉が入っているのですが、この「平準化計画」を理解することが、ジャストインタイム生産方式を理解する一番の肝になります。
そこで「夏休みの宿題」を例にして説明したいと思います。皆様、学生時代に夏休みの宿題は計画的にされていましたでしょうか。私の学生時代は、残念ながら8月の終わりに必死に宿題を片付けることが多かったです。でも、宿題の納期は9月1日なので、ジャストインタイム生産方式で効率よく宿題をかたづけていると思いませんか?でも何か違いますよね。そう、「平準化計画を実施した上で」が抜けているのです。
平準化計画で各期間毎にやるべき課題と量を決定し、必要なものを調達し、計画通りに実施するのが真のジャストインタイム生産方式なのです。まずは、第一週:漢字ドリル 第二週:ポスター 第三週:読書感想文 第四週:工作 第五週:絵日記 という具合に、宿題を平準化します。そして、それぞれに必要なものを、できるだけ直前に手に入れるのです。直前に手に入れれば、机の上等が材料で氾濫することが減り、効率よく宿題をすすめることができます。これがジャストインタイム生産方式です。
でも、都合よく材料を直前に手に入れられないことも多いですよね。夏休みの最初に学校で渡されるものもあります。まさか先生に、ジャストインタイムで家に課題を送ってくださいなんて言えません。そうだから、「できるだけ」直前になのです。実際の工場でもそうで、「できるだけ」でかまいません。(ただし、本当にできるだけやったの?との突込みに耐えられる努力は必要です。)
各期間毎にやるべき課題と量を決定することと、材料を直前に手に入れること、どちらが大事でしょうか?夏休みの宿題で考えると、当然前者かと思います。すなわちジャストインタイム生産方式は、平準化生産こそ最重要だと言えます。
自動車などの量産工場では、顧客の需要を考えながら、まずは組み立てラインで平準化計算を行っています。次に組み立てラインで必要な部品の必要時期を計算し、部品製造ラインの生産が連動するように計画しているわけです。なお、必要量にばらつきが生じる部品においても、事前にいつどの程度必要になるか中長期の購買計画等がしめされますので、部品生産においても、平準化計画を実施できます。このような仕組みですので、トラブル等がない限りは下請け会社に「すぐに持って来い」とはならないのです。まずは、いかに平準化生産を実現するかを考えることが重要です。
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