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購買品の品質管理① 要求仕様を明確に

これまで、いかに購買品をジャストインタイムに近づけて納入するかを、主に発注側の視点で述べてきました。しかし、仮に納期を守って入ってきても品質に問題があっては意味がありません。

納入部品の品質問題は意外に隠れることが多い

みなさん納入部品の品質をしっかりと把握していますでしょうか。もちろん、製品にどうやっても取りつかない部品が納入されて、生産が全面的に止まってしまう場合は騒ぎになるので、まずは気が付きます。しかし、私の経験上では、手直しをすれば使うことができる部品が納入された場合だと、手直しをされた方や職場以外に問題が表面化することなく、作業が進むことが意外に多いのです。さらにひどい場合だと、手直しをされた職場の担当者さえも、直すのは当たり前で通常の工程だととらえていて、問題だと認識していないケースがあります。まずは第一歩として、職場の手直しがどの程度発生しているのか、ヒアリング等で概要をつかむことからはじめます。

納入部品の要求品質を見直す

品質の問題をとらえたら、もちろん次には部品メーカーにお願いして、品質の良いものを納めてもらうことです。が、「うちは、できる限りの品質のものを納めていますよ!」と言われたらどうしますか。

①要求品質を数値化する

例えば溶接品で「ひずみのないもの!」を要求しても、「この程度なら溶接品ではひずんでいる内に入らない!」ともめることが多々あります。ですから、「〇〇からXXまでの寸法が±30㎜に入るようにひずみを抑えて」と定量的にわかるように要求します。

② 購入仕様書に要求品質を明記する

要求品質を数値化したら、次にそれを購入仕様書に記載しましょう。口頭でのお願いは、後でいった言わないや、「それは契約事項でなく単なる努力義務だ!」などもめる原因となります。そして、それが守れるのか否かをしっかりと確認をとりましょう。もし、価格が上がるのなら、それも把握した方がよいです。そして購入価格と納入後のコストの合計が最小になる、仕様を決定します。

購入先には黙って購入仕様書に書いておけば見積価格が高くならないかもしれません。しかし、品質の悪いものが納入されて、返品手直し対応などで結局コストが悪化してしまいます。また、購入先は、購入仕様書をしっかりと説明しないメーカーには安心できないので、日常として見積もりを高く出す傾向になってしまいます。

参考 一般公差は要注意

みなさん、図面に書かれている一般公差は気にしていますか? おそらく、「当たり前、いつも気にしている!」という人と、「あれは目安! 入ってなくてもほとんど気にしない。」の2極に分かれるのではないでしょうか?本来は前者が普通なのでしょうが、一般公差をそのまま適用するとオーバースペックになってしまう製品では、後者になっていることがよくありません。認識のずれがないかしっかり確認しましょう。一般公差がオーバースペックになる場合は面倒でも、守るべき数値をちゃんと再定義しましょう。