スポンサーリンク

品質の悪い購買品を入れない

これまで要求品質を要求仕様に明確にすることを述べました。これで部品組立が問題なく進むでしょう・・・と言いたいところですが、もうひと手間が必要です。納入された部品が要求品質通りに作られるように保証する体制を構築することです。では、どのようにすれば品質保証体制ができるのでしょうか?

私が工場で若手から一番よく聞いた意見は、「全数受け入れ検査をして、水際で食い止める!」でした。たしかにかつて、納入された部品は全数受け入れ検査を実施することがよく行われていました。しかし、受け入れの手間(コスト)が非常にかかります。そこで原点に立ち返って考えてみます。そもそも、購買先がしっかりとした検査をしたものを納入していれば、受入検査は必要ないのです。

購入先での品証体制を確認・構築する

職場に品質の悪い購買品を入れないために優先して実施すべきことは、購入先での品証体制を確認することです。でも、確認することは結構大変です。効率的に確認・構築できるための方法を述べます。

①過去の取引で同種製品の取引で品質問題がないメーカから買う

価格面で問題がなければ、過去の取引を重視するのが一番かと思います。ただし、過去の品質問題の発生の有無等を取引メーカー毎にしっかりまとめておく必要があります。

② ブランド品を買う

多少値段が高くても、世間で品質が認められているメーカの製品を買うことが結局安上がりのことが多いです。最近のWEBで言うと、「口コミ」が多く高評価の声が多数寄せられている商品です。WEBで販売していないものでも、過去の販売実績や他のユーザの購入例をメーカーに聞いてみるとよいでしょう。

③QC工程表でメーカーの品質保証体制を確認する

もしメーカーがISO9000を取得しているようなら、メーカーにQC工程表を作成させて、それに沿って品質を確認するのが手っ取り早いです。すなわち要求スペックに対して、「どの工程で」、「誰が」、「どのようにして」、「何を使って」検査するのかを確認するのです。もし本格的なQC工程表を作ることができないメーカーであっても、 上記の項目を確認していけばよいでしょう。最終検査で図面を漠然とみて、OKか否かを判断するようなことだけしかできないメーカーではないことを確認するのです。そして、必要に応じて検査記録も提出させることを求めましょう。(記録提出の要求は購入仕様書に記載する必要があります。) 

④検査方法等を教える

検査方法も自分で考えられないメーカーでも、すばらしい技能者がいたり、近所のメーカーで距離的メリットが大きい等の理由で中長期的視点で付き合いたいメーカーもあります。その場合は、どのように検査するかを一緒に考えていくことも手です。検査治具を製作して支給するのもいいかもしれません。海外生産で各メーカーがこれまで一般的に行っている手法でもあります。

受け入れ検査

受け入れ検査の持つ役割は、購買先がしっかりと検査できなかった漏れを食いとめることです。ですから、

  • 品質上に特別に重要な部品を管理する場合
  • 海外生産などで値段はかなり安いが品質管理ができていない部品を買う場合

の2つのケースが考えられます。ただし後者については、受け入れ検査のコストや、不良部品に気が付かず製品に使われてしまうリスクを総合的に考慮しなければならないのは言うまでもありません。「安物買いの銭失い」にならないように注意しましょう。

なお受け入れ検査は、「全数検査」と「抜き取り検査」があります。「抜き取り検査」は手間が省略できるのが利点ですが、検査をすり抜ける可能性があります。検査をすり抜けても後工程等で食い止められるもののみの適用ができます。どのように抜き取るかは、

  • 初品や部品製造方法の変更有無
  • 購入先の品質保証体制レベル
  • 同一製造ロットか否か

などを考慮して決定します。可能なら統計的に考えることでより効率があがります。ただし抜き取り検査は購入品の品質保証上のメイン手法ではありませんので、簡単にできる範囲でかまわないと思います。(ここでは統計の高度な手法説明は省かせてもらいます。)