新!小集団改善活動(新QCサークル)
「QCサークル」をご存じでしょうか?職場のメンバーが自発的に集まってQC手法を駆使して自発的に継続的に改善活動を行うものでした。高度成長期から1980年代に多くの企業で導入されて大きな成果を上げています。現在の日本が安くて高品質の工業品を製造する技術を得たのはQCサークルが寄与した部分が大きいと私は考えます。
しかし考えてください。「自発的に集まる活動を企業が導入」って矛盾していますよね。そう、暗黙の強制で無給活動をさせていた企業もあったのです。他にも問題点がありQCサークルは下火になってしまいました。しかし、QCサークルには大きな効果をもたらす要素があるのも事実です。そこで問題点を解決した活動、「新QCサークル」を提案し紹介したいと思います。(名前は私が勝手につけました。)
活動の枠組
枠組みはこれまでの暗黙のトップダウンでなく公然のトップダウンで行います。事務局は活動にかける時間(予算)を決めて投資対効果をしっかりと意識しておこないます。また、活動が停滞しないように定期的継続的にフォロー会議等でフォローします。事務局のメンバーには生産管理担当者も入るのがよいでしょう。
活動の中心は従来のQCサークルと同様に職場のメンバーです。製造部門の多くの課題は製造現場に集約されます。その最前線に立つ職場のメンバーがやはり主役です。ただし、新QCサークルでは他部門の関係者やQC手法担当も加わります。職場の課題は他部門が原因なことが多いですし、複雑な課題においてはQC手法を高度に駆使しないと課題が解決しません。もし、QC手法担当がいなければ、適性のありそうな人を選出し育成します。
職場内の異常や課題を数値化し継続フォロー
職場のメンバーが感じた職場の課題を解決するだけでは、大きな騒ぎになった問題の後始末が中心に陥ってしまいます。そこで、まずは職場の標準作業の整備を強化することからはじめます。標準作業が不十分だと正常か異常かの判別が難しいからです。そして、職場の活動でQCDSに密接につながっている因子(職場KPI)を見つけ出して、職場KPIをフォローします。(KPIについてはリンク先の記事を参照ください。)
https://tu-ju.com/2019/06/04/post-416/ KPI を設定しよう
例えば、継続的に手直しを集計して課題をつぶしていったり、標準時間より多く時間がかかった項目について、理由を確認して改善を考えたりします。これで騒ぎになっていない大きな問題も顕在化できます。また将来大きな問題につながりかねない芽も混ざって出てきますので、チェック作業をしっかりしましょう。
問題の真因を探して改善を行う
職場内の異常や課題を抽出できたら改善活動です。すぐにできることは担当と期限をきめてさっさと片付けましょう。もし課題が複雑ならQC担当の出番です。「QCの7つ道具」や「なぜなぜ分析」を駆使するなどで真因をつかんでください。またQC担当は職場での対処が表面的な事象のみをとらえていないか目を光らせる役目もあります。(QCの7つ道具:パレート図はリンク先を参照ください。他のQCの7つ道具やなぜなぜ分析の記事は後日つくりたいと思います。)
https://tu-ju.com/2019/05/30/post-356/ QCの7つ道具:パレート図
標準化
改善活動の成果は標準作業書などに表して、新しい職場の標準とすることを忘れないでください。これをしないと改善後のやり方を継続できませんし、職場内の新たな異常が見つけられなくなります。
改善をフォローする
改善活動はフォロー会議等で定期的に継続的にフォローします。その時には投資対効果の算出も行いましょう。つい効果が出たことにしてしまいがちですが、そこは我慢です。効果が出なかったことの理由を考えて改善のサイクルを次につなげることに注力してください。経営トップも目先の効果でなく、改善のサイクルが止まっていないかや形骸化していないかに注視することが重要です。
改善発表会
よい改善があれば社内で発表会をするのもいいでしょう。でもこれが目的にならないようにようにだけは注意してください。あくまでも素晴らしい成果を広めるとともに顕彰する場なのです。
以上私がこの2~3年活動を主導して成果をあげてきた「QCサークルもどき」を「新QCサークル」として整理して提案しました。標準作業を中心としてPDCAサイクルを廻すことがポイントです。あくまで職場が中心ですが、トップをはじめ関係者が職場を引っ張り上げることも重要です。
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