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熱処理炉(特殊工程)で考えるプロセス管理

2019年7月7日

前記事 https://tu-ju.com/2019/06/10/post-452/  プロセス管理 あなたは何から何を作る?

プロセス管理は特殊工程管理から広がった

プロセス管理は高い品質管理レベルを要求される航空機メーカーなどで数十年以上の歴史を持っています。一方、一般の工業品を作るメーカーでは、製品が完成した後に寸法計測するなどでスペック通りに作られているかを検査することに重点をおいて品質保証をするのが以前は普通でした。しかし製品の内部状態に品質が左右される製品の場合、完成後の検査では調べることが困難です。例えば熱処理工程は金属の内部組織に変形を与えて性能を向上させますが、それがうまくできたかどうかは直接の検査ではとらえにくいのです。そこで熱処理のような工程を特殊工程として定義して、そのプロセスを管理することでアウトプットの製品の健全性を担保する考えが導入されました。熱処理手順(ヒートパターン)、作業者認定、炉温度計の計測記録、温度計の校正記録などを管理することで製品を保証しているのです。プロセス管理をする以外に品質保証することが困難ですので、特殊工程が中心となっている多くのメーカーでは従来よりプロセス管理をしっかりと実践されていることが多いと思います。

特殊工程とは

熱処理はもちろん、溶接、X線検査、半田付け、メッキ、鋳造、鍛造など多くあります。ただし工場によって製造する製品によって、プロセス管理が厳密に行われているか否かは濃淡があります。例えば溶接は強度が求められる構造体の本溶接と、付属品をクリップ代わりにとめる溶接とでは品質に対する要求は当然異なるからです。一方で、厳密な品質管理が求められるはずの製品でも、少しルーズと思える事例が多々見かけられます。もし特殊工程に関わられる場合は、一度厳格に管理が行われている例を参考にされることをお勧めします。できれば同じ工程でいい例が近くにあればよいですが、もし見つけなければ熱処理工場をおすすめします。熱処理工場はプロセス管理を求める顧客がほとんどですので、プロセス管理を行っていない工場は見かけにくいからです。(ただし、今社会問題となっているデータ偽装はあり得ます。もし仕事を依頼するときは、信頼できるか否かは十分に見極める必要があります。)

一般工程にも広げよう

特殊工程でプロセス管理を学んだあとは、一般工程にもその手法を広げましょう。特殊工程ほど厳密でなくともまずは構いませんが、うまく運用すると、品質・コスト・リードタイム等の改善が驚くほど進みます。ISOも1980~90年代もプロセス管理をこの特殊工程ぐらいしか強く求めてはいませんでしたが、現在は他の工程へ広げてきています。

さらに事務作業にも広げ働き方改革も実現しましょう

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