計測器校正の考え方
少し前のことです。計測器の測定値がくるっていないことを、どのように管理するかを生産技術の新入社員に尋ねたところ、「この計測器はメーカーが1年保証しているので大丈夫です。」との回答を得ました。私の教育不足が露呈したようでお恥ずかしい限りです。しかし周りにこのような回答をされる方は結構いるのではないでしょうか?そこでここでは計測器の校正の考え方と、どのようにして測定値を保証するのかを述べたいと思います。
計測器校正はその時点しか値を保証できない
よく製品の「〇〇年保証」とありますが、ここでいう保証はもし〇〇年間の間に製品が壊れたら無償で修理しますとの意味で、決して〇〇年間は壊れないとの意味ではありません。契約にもよりますが、二次損害まで保証されることはメーカーの故意や重過失がない限りはまずはないでしょう。まして使用者に過失があった場合は当然の保証の範囲外です。計測器についてももちろん同様です。ですから、製品の計測値は、計測器を使用するメーカー自らが保証しなければならないのです。
計測値の保証期間
1回目の校正が行われてから、2回目の校正が行われた間の期間が計測値の保証される期間になります。使用後に2回目の校正が行われない限り値を保証できません。仮に使用後に捨てる予定の計測器でも校正を行わなければなりません。
計量器が校正で許容値を外れたら
最後に許容値に入った校正から、不合格になった期間までに、その計量器で測定した数値が担保できない状態になります。その場合「妥当性確認」が必要になります。妥当性確認は、値がずれていても製品スペックに入るか否かをみたり、現物製品を再確認したりします。もし妥当性を確認できなければ、製品が未出荷なら手直し、出荷していればリコール等が必要になってきます。最悪の場合は校正が行われる前に製品を使用され壊れてしまう場合です。製品の用途によっては重大災害を引き起こしてしまい、メーカーは社会的制裁を受けることもありえます。
許容値を外さないために
およそ次の対策が考えられます。
- 計量器の校正範囲と製品スペックとの間に余裕をもたせる
- 計量器の自主チェックをしっかり行う
- 計量器の校正間隔を短めにする
計量器が校正の間隔の決め方
計量器が校正の間隔は顧客に不良品を流失させないために、非常に重要なものです。ですから、計量器メーカーでなく製品を作っているメーカーが自ら決める必要があります。万一校正が不合格になっても、取り返しがきくか否かが重要な要素になります。もちろん計量器の特性上、どの程度狂っていくものなのか、計量器メーカーに聞いてもよいですが、参考にしかならないのです。仮に計量器を不注意で壊した場合を考えてください。その瞬間、最後に許容値に入った校正をした瞬間まで遡って、健全性確認をしなければならないのです。しかし、仮に出荷していればどうでしょうか?なかなか客先にまで確認はいけないメーカーがほとんどではないでしょうか。そうならないためにも、製品製造のサイクルを十分に考慮して適切な校正期間を決めることが重要なのです。
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