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なぜなぜ分析と特性要因図

特性要因図(QC7つ道具の一つ)

不具合の起こった特性に対して、4M (Man (人)、Machine (機械・設備)、Method (方法)、Material (材料))の要因が、どのようにかかわってかを示した図です。それぞれの要因はまずは大きなところからとらえますが、そこから徐々になぜなぜと繰り返して細分化していきます。特性要因図はその形状からフィッシュボーン図とも呼ばれています。

 不具合を大きく捉えるといった点では、可視的でわかりやすいです。大きな不具合でないと、特性要因図まで作らないことが多いと思いますが、もし不具合を大きな視線で捉えられていないと感じるようなら、作ってみるとよいと思います。ただし、特性要因図の中の管理用特性要因図と言われるものは、不具合の起こった特性に対して考えられる要素を網羅的に上げていく手法です。「アクセルとブレーキを踏み間違えやすかった」、「アクセルを離したのに自動車がエンジンへガソリンの供給をとめなかった」などの推定要因を列挙していくことになります。不具合の起こった事象を確定させてから深堀していくなぜなぜ分析とは少し異なるところがありますので注意してください。不具合の確定した事象に対して事実のみの要因を列挙していく、解析用特性要因図を作成すれば、なぜなぜ分析と対応した図を示すことができます。さらに、なぜなぜ分析を始める前に管理用特性要因図作って、不具合の事象の確定のための分析につかうなら、より深い分析になると思います。ごっちゃまぜにして何を分析しているのかわからなくならないように注意してください。もちろん、よほどの不具合でない限りはここまで資料を作られる方はあまりいないと思います。私もほとんどの不具合分析はなぜなぜ分析までです。ただし不具合を大きく捉えられるように頭を整理するには、このあたりを特性要因図の考えを意識することが重要かと考えます。

狭い範囲のみの不具合分析から脱却

高齢者のアクセルブレーキ踏み間違え事故において、よくあるなぜなぜ分析の失敗例は目につく、ごく狭い範囲のみを考えてしまうことです。例えば次のような感じです。

  • 分析 踏み間違えた  ―  足があがらなかった ― 筋肉がたらない ― 高齢だった
  • 対策 高齢者に運転しないように注意する

このような分析と対策ではほとんど意味がないですよね。分かり切った事象を細かく分けてなぜなぜで繋げただけだったり、ひどい場合は高齢者のみに責任と対策を押し付けるのみの分析だったりします。もちろん当事者には大きな責任があるでしょうが、同じような事象が周りに再発しないようにする義務は基本ありません。社会全体で考えるべきことです。プロセス管理の概念で不具合の大枠を取り入れたり、特性要因図の概念を取り入れることで不具合分析と対策が大きく進歩します。