T型フォード誕生:ライン生産のはじまり
ギルブレイス:サーブリック分析 https://tu-ju.com/2019/06/30/post-524/
フレデリックテイラー https://tu-ju.com/2019/07/01/post-526/
ギルブレイス、フレデリックテイラーとIE(インダストリアルエンジニアリング)の二人の父の話をしてきました。 その後、一気に世の中に影響を与えた出来事が、 フォード 社によるT型フォードの大量生産です。それまで蒸気自動車からガソリン自動車へと進化はしているものの、非常に高価で庶民の手に届くものではなかった自動車が、一気に手に届くようになったのです。(当時フォード社はテイラー等の影響は受けていないと言っているようですが、歴史的には一連の流れと言えるでしょう。)
T型フォードはベルトコンベアによる量産ラインでつくられており、次のような特徴がありました。
- 作業の標準化
- 分業化による作業者個人への要求技能レベルの低減
- 設計の標準化
- ベルトコンベアによる移動削減
- ベルトコンベアによる半強制的課業管理
ここで問題になるのが分業化による単調な繰り返し作業と、既定の時間内での作業完了が求められる半強制的課業管理です。その姿は、人間を歯車のように扱っていると、当時社会的批判を大きく浴びました。チャップリンの映画「モダンタイムス」での批判はご存知の方も多いかと思います。
ヘンリー・フォードは当時の社会的批判をどのように受け止めたのでしょうか?いろいろと複雑な方だったみたいでです。 少なくとも典型的な善人タイプではないようですが、今に残る記録を見る限りでは 、給料を2倍に引き上げたり、週40時間労働などを率先して実行しているなどの評価されるべき功績も行っています。そして問題解決への取り組みは、次の世代にバトンを渡すことになります。
物質的豊かさから、精神的にも豊かな社会実現をみんなで目指した
IEが大きな役割を果たした大量生産の技術は、安価で良質な製品を多く人類にもたらしました。薬・食料・移動手段・通信手段など、現在人類が健康的で文化的な生活を行うには欠かせません。物質的に豊かな社会が必ずしも精神的に豊かな社会はもたらすものではありませんが、物質的に豊かでない社会で病気や飢えにおびえながら暮らす社会では、精神的豊かに暮らすことは一般人には困難でしょう。確かに工場でのライン生産の誕生には、経営者の個人的な欲もあったかもしれません。しかし現在まで改善されながらもライン生産が続いているのは、社会のみんなが、物質的に豊かになって、そして精神的に豊かな世界の実現につなげようとしたからだと思います。ヘンリーフォードから受け渡されたバトンを、問題点を感じながらも世界のみんなは受けとったのです。
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