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原単位から原価を計算する

2019年7月15日

原価計算を考える | https://tu-ju.com/2019/07/12/post-589/

原価が何に比例するかを考えたら、次はその1単位あたりに必要な材料費、人件費、経費などの標準投入量すなわち原単位を考えます。もし工場で生産している製品グループが一つの原単位で表せられるならラッキーです。あとは材料費、人件費、経費などのすべての支出を、比例する要素で割ればいいだけです。

工場の生産でわかりやすい例では鋳物の原価計算があります。鋳物工場の支出(材料費、人件費、電気代等)を鋳物生産出来高(重さ)で割って、重さ当たりの原価がでます。そして製品の重さをかければ原価計算が完了です。簡単でしょう!

でも、ここで疑問に感じた人もいると思います。同じ重さの鋳物でも必要な手間暇が違うのなら原価が一緒にならないはず。 例えば薄い鋳物と厚い鋳物のでは原価が違うはずだと。 もちろんその通りです。しかし、薄い製品と厚い製品の仕事を偏らずこなす工場では影響は限定的です。最終的な原価は平均されてしまうので大きな影響にはならないからです。一方で、同じ重さの薄い製品と厚い製品を同じ値段にしたことにより、薄い製品ばかり受注する可能性がある工場では問題になります。このような場合は、客先に提出する見積もりには薄い製品は厚い製品の1.2倍など係数をえいや~で経験からつけちゃいましょう。(ごめんなさいtu-ju流です。) もし係数で表すことが難しい場合は、薄い製品と厚い製品を別の製品群として原単位を分けて考える必要があります。原単位のなかで人件費の割合がことなる複数のグループになると思います。実際の作業時間を測定するなどで、この割合の違いを求める必要があります。そして、新たに求めた複数の原単位で1か月の工場の支出がいくらになるかを計算してみてください。それが実際の支出とおおよそ一致しているなら、その原単位はうまく設定できていると言えます。このようにして多くの工場では原単位は複数設定しています。

原単位設定を複数していることが一目でわかる良い例があります。それはお肉屋さんです。肉の部位毎に100gあたり単価で、焼肉のたれなどは1個当たり単価で設定されています。これらが原単位設定にあたるのです。また揚げ物などでは「10個で2割引き」などの値付けをしていることも多いと思います。これが原単位による原価決定を補助する係数になります。揚げ物は材料費よりも手間の割合が大きくて、それを補正するために「値引き」をつかっているのです。なおこの補正を曲線的にすれば厳密な最適解がだせますが、計算が面倒ですし、お客さんも理解しがたくなります。計算にもコストがかかりますから、ほどほどのところで、補正をやめているのです。

このようにして、工場の製品の原単位設定をして、原価を決めていきましょう。

つづく   限界利益計算 |https://tu-ju.com/2019/07/14/post-594/