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固定費を減らす(1)

2019年7月16日

原価計算を考える | https://tu-ju.com/2019/07/12/post-589/

原単位から原価を計算する | https://tu-ju.com/2019/07/13/post-591/

限界利益計算 https://tu-ju.com/2019/07/14/post-594/

仕事がない時赤字になるのは固定費が原因!

これまで原価を固定費と変動費にわける話などをしてきました。では固定費と変動費で同じ1円ならどちらの1円が重いでしょうか?1円は1円で同じだ!と思われるかもしれませんが、実は重みが違います。

確かに仕事が安定的に舞い込む職場では、固定費と変動費は同じ重みになります。しかし多くの工場では、仕事の山谷は避けられないと思います。多少なら仕事の平準化で対応できますが、それを超える受注の落ち込みも、決して珍しいものではないと思います。その受注の落ち込んだ時も、固定費は継続的に発生し続けますので大きな赤字に繋がってしまいます。これにより工場を閉めざる得なくなった例は無数にあるのです。もし100%変動費だったらどうでしょうか?受注が落ち込んでも利益の額は減りますが赤字が発生することはありません。そう、固定費を減らすことは、多少の仕事の山谷にも対応できる強さをもつことにつながるのです。

現有設備をフル活用する

固定費が跳ね上がり、事業が傾いた原因でよく聞くのが、設備投資に莫大な投資をしたが受注が続かなかったケースです。設備投資はすることで事業の拡大につなげることはよいことですが、慎重にやらなければならないものです。安易に設備投資を決定するのでなく次のようなことを考えることが重要です。

・現有設備をフル活用して対応できないか

・増加分をレンタル等で対応できないか

・能力オーバー分を他社に依頼できないか

・能力からあふれた受注をあきらめる選択肢を検討する

・最低限必要な設備・機能な何なのか

受注が右肩あがりの状態で設備投資を検討しているときは、つい気が大きくなって過剰な投資をしがちになります。色々と策を述べましたが、大きくなった気持ちを引き締めることが一番重要なのかもしれません。

参考 減価償却

税務上導入した一定額以上の設備は資産として計上されます。購入した費用は一度に経費として計上することは認められず、法令で定められた耐用年数に従って毎年その価値が下がった分だけ、減価償却費として経費として認められます。償却が終わるまでは法人税や固定資産税を設備の使用の有無にかかわらず払いつづけないといけません。これも固定費になります。

大規模な設備を導入しても減価償却が終わるまでは資産として帳簿にのる関係で、1年単位でみると経費はたいした額にならないことも多いです。例えば鉄筋コンクリート造の一般の工場建屋は38年です。鉄筋コンクリート造の事務所にいたっては50年になります。建物は定額法(毎年一定額づつ償却される方法)が採用されています。ですから目先の受注が見えている数年程度の範囲は余裕で帳簿上は黒字になるケースが多くなります。しかし、償却が終わる数十年以上も仕事があり続ける保証はまずないでしょう。また、設備投資費の回収に数十年もかけているようでは、よい投資判断とは言えません。税務上の見た目の黒字にだまされないように、注意が必要です。

つづく 固定費をへらす(2) https://tu-ju.com/2019/07/16/post-615/