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固定費を減らす(2)

2019年7月18日

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手待ちをつくらない

設備の次に仕事の山谷に対して調整しにくいのが、人員のやりくりかとおもいます。設備の場合は設備能力の範囲なら、単調で面白みのない仕事でも黙々と仕事をし続けます。一方人の場合はそういう訳にはいきません。人はそれぞれが人格や意思をもっていますので、仕事の調整にはデリケートな問題を考えなければならないことが多いです。人のやる気を極力下げないように気を使いながら、人の手待ちを作らないように仕事を割り振ることが重要です。

一方で、人の能力は現在存在するどのようなロボットよりも万能な素晴らしい側面をもっています。この側面を有効活用できれば、人の手待ちは極小にまで減らせます。そして直接生産にあたる人の人件費は、変動費と同等近くに扱えるようになっていくでしょう。具体的な方法は次のとおりです。

残業でやりくりをする

仕事の山谷はまずは残業の増減で調整するのが一般的です。平時は1時間残業程度になるように心がけて、忙しい時は2時間残業に、暇なときは定時にすることで仕事の山谷を吸収します。毎日定時が基本の職場や、逆に長残が恒常化している職場では山谷の吸収代は片側にしかない不完全な状態です。またそのような職場では残業を山谷の吸収に使おうという意思がほとんどないケースもあります。

注意 残業には労使協定の締結が必要です。毎日定時の職場等では結んでいない可能性もありますのでご注意ください。

同業他社に請負工事で依頼する

自社で仕事が溢れる場合は、仕事がすくない同業他社に請負工事で出す手もあります。ただし同業他社はライバル会社でもあることが多いでしょうから、依頼しにくいケースも多々あるかとは思います。

工程の一部を請負工事で依頼する

仕事の全部を請負工事で依頼できなくとも、工程の一部なら依頼できることはよくあると思います。他社でもできる工程をみつけておき、仕事の山谷にあわせて仕事を割り振りましょう。また逆に現在外部に請負工事で依頼している仕事から、自社に取り込める仕事をつくるのも手です。

忙しい工程や他工場に人員を柔軟にシフトする

設備にはない、人の万能性を使った方法がこれです。ある程度の規模の工場になると、仕事の山谷は工程や工場毎にずれが生じることが多くあります。そのずれに柔軟に人をシフトさせるのです。もちろん多能工化が進めることが前提条件となります。必要とされる製品の移り変わりがある世の中ですので、このあたりへの対応能力を日ごろからしっかりと磨くことは重要です。

注意 他工場へのシフト等で勤務地が変わる場合は、法的に本人との同意なしにできないケースがあります。また法的には同意なしにできるケースでも、会社と従業員のベクトルを合わせるためには極力同意を得ることが望ましいと思います。ご注意ください。

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