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MRPシステム~生産管理システムのコア部

MRPシステムは現在多くの電算で動く生産管理システムのコア部分を構成していて、この概念を理解することは重要です。そこで、MRPシステムの歴史をたどりながら生産管理システムがどのように進化していったかを書いてみたいと思います。なお、MRP(Materials Requirements Planning)とは日本語で言うと資材所要量計算のことです。資材所要量計算の概念については「所要量計算」に挑戦 https://tu-ju.com/2019/05/26/post-247/ の記事を参照ください。

MRPシステムの黎明期

MRP:資材所要量計算は1960年代に提唱されて、1970年代にはアメリカ等でシステム化されています。受注情報と部品表、調達リードタイムから、各部品・材料がいつ必要なのかを計算します。当時計算機の能力は低かったこともあり大型汎用機等を計算に使っていました。システム間の連携もあまりなくパソコンを各個人がもっていなかった時代の話ですので、当然入出力後の処理には転記作業などもしばしば発生します。それでも復旧していったのですから、資材所要量計算の処理を手書きでやることが、どれだけ大変なのかを垣間見ることができます。

MRPシステムは押し出し生産方式

MRPは受注情報と部品表、調達リードタイムといった上流工程の情報から各部品・材料の必要時期を計算しますので、当然押し出し計算方式になります。押し出し生産方式をそのままやった場合、どんどんと仕掛在庫が停滞してしまい大変なことになってしまいます。また部品類が途中で紛失しやすい職場ですと、逆にどんどん先食いがはじまってしまい、気が付いた時には多量の部品欠品が発生してしまいます。MRPシステムの導入を成功させるには、およそ次のことが必要です。

  • 部品・材料の数量管理を徹底
  • 仕掛が溢れないように生産計画をこまめに見直して調達納期を調整
  • 調達納期を守らせる

MRPシステムは紐づけ管理が苦手

MRPシステムは、どの部品がどの注文と結びつくのかを原則紐づけて管理しません。ですから、後から入った短納期注文に部品を使われてしまう問題が発生します。そうならないためには、短納期注文を入れる場合は、他の注文に影響を与えないか十分に確認する必要があります。

 またある顧客が部品製造段階で立ち会いした部品も、容赦なく他の顧客の注文に引き当ててしまいます。そうならないためには、その段階で製品コードを別に取り直すなどの処置が必要です。

一品物生産で使う

MRPシステムは量産系で在庫を持って生産を行う工場を中心に発達しました。一品物生産では同じ部品を扱うことが少ないので、MRPシステム黎明期ではあまりシステムを使うことはなかったと思います。しかし、現在は様々な生産管理系のシステムがつながっていることもあり、一品物生産でもMRPシステムを使用するメリットが大きくなっています。図番‐項目をそのまま製品コードとして、在庫引き当てを行わないようにすればMRPシステムを使うことができます。「同じ製品は同じ製品コードをつける」と教わることも多いと思いますが、あまり気にしなくてよいです。ただし、従来図面から発注せずに、職場の在庫を起点として管理しているものをMRPシステムに乗せる場合は注意が必要です。(もちろん乗せなければ問題ありません。)

電算システムを使わない方法を中心に述べた記事を載せておきます。

 https://tu-ju.com/2019/05/24/post-231/ 小部品でも都度発注することも考える

 https://tu-ju.com/2019/05/25/post-234/ 現場に小部品をストックして管理する方法

MRPII~ERP編へ続く